誘惑に勝つHAPPY その2
9月7日(月)晴れ
『こっそり盗んだ物の後ろには、心の平和はない。』
実祝プランニング語録
イーストを分けてもらった若いおかみさんは、急いで家に戻ると、こっそり取ってきた、まるで血のような色をした真っ赤な布を、自分の家のバター樽の下に押し込んだ。家には牛乳は少ししかなかったが、それでも若いおかみさんは、かくはんするための棒を樽に差し込んで、上下につき始めた。バターが作れるほどの牛乳の量もなかったのに、あら、不思議。バターが出来た。それも、純金のような美味しそうなバターが大きなかたまりとなって、出来ていった。若いおかみさんは、喜んだ。「うまいこといったわ。このバターなら、高く売れるわ。」ところがその時、ドアを叩く音がした。そして、全身が気味の悪い、くすんだ緑色の男が入ってきた。
良く見ると、この男の、シャツも上着もズボンも帽子も気味の悪い緑色をしていた。ただ、帽子には赤い雄鶏の尾羽根がさしてあった。これは羽ペンだった。初めて見る男だったが、男はなれなれしく挨拶した。
「やあやあ、おかみさん、その血のような真っ赤な布でバターを作るのは、実は私の作りかたなのですよ。でも、その布をどこで手にいれたのですか?」おかみさんは何も答えることが出来なかった。布を自分はこっそり盗んできたのだから。
男は言った。「心配しなくても大丈夫ですよ。但し、それを使うにあたっては、この本の中にあなたの名前を書いていただきたいのです。」おどおどしながら、若いおかみさんは聞いた。「どうすればいいの?」男はおかみさんにナイフを差し出した。そして羽ペンを帽子から取った。「簡単なことですよ。あなたの腕にこのナイフでちょっとだけ傷をつけたら、血がでるでしょう?その血をインクの代わりにして、この本の1番下にあなたの名前を書いてくださればいいだけですよ。」本を見ると、多くの名前が血で書かれていた。見るだけで気味が悪かった。
これは大変なことになったと、若いおかみさんは困ってしまった。「お願いです。書くのを1日だけ待ってもらえませんか?」必死で頼み込んだ。男は「では明日の同じ時間にまた来ますから、その時は必ず名前を書いていただきます。」そう言って去っていった。 『悪者の口はねじれごとを知っている。聖書箴言10:32』
若いおかみさんは、すぐさま、キッペンハイムに居られる司祭の所に走っていった。
若いおかみさんは、どうなってしまうのか?続きは又、明日・・・。
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