アドベント 古い外套がおくるみ

12月11日(金)雨
『自分の持てる全てをささげるなら、質素な食事も古い外套も誰かを救うことができる。』
実祝プランニング語録
食事をしていないという女性の言葉に、マルトゥインはかわいそうに思った。そして、朝ペチカにかけていたおかゆと、キャベツ汁を2つのお椀に注いだ。パンも戸棚から出してきた。
「たいしたものは無いが、身体が暖まると思うよ。遠慮せずに、お食べ。この赤ん坊はわしが抱いているよ。なあに、わしにも子供がいたのでな。赤ん坊の世話くらいはできるさ。」女性は、十字を切って、マルトゥインに頭を下げ、食べ始めた。
赤ん坊はマルトゥインの顔を不思議そうに見つめていたが、マルトゥインが赤ん坊に笑いかけると、赤ん坊も「きゃっきゃっ」と笑い出した。
女性は、食事をしながら、自分の身の上話しをしだした。「あたしの夫は兵隊です。もう遠くにいってから、8ヶ月になりますが、音信がありません。食べるために、料理をつくる賄い婦をしていたのですが、子供を産んでしまったら、そこには置いてもらえなくなりました。それから、もう3ヶ月になります。」
マルトゥインは聞いた。「3ヶ月間はどうやって食べてきたのだね?」女性は言った。「あたしの着物を全部売ってお金に換えました。乳母として雇ってもらえないかと思ったのですが、痩せているから駄目だと。
そんな時、同じ村の女性がこの近くの商人のおかみさんのところで、住み込みで働いていたので、口を聞いてもらったんです。遠くから来たんですが、来週まで待ってくれと言うのです。
でも、この子を抱えて、遠くまで歩く元気も無く、おかみさんがお慈悲で間借りさせてくれているんです。」
大変な目に遭っていると、マルトゥインは思った。「ところで、冬物の着物はないのかい?」女性は悲しそうに「もうみんな売ってしまって、昨日1枚だけこの子をくるむために残しておいたスカーフを、20コペイカで質にいれたんです。」
マルトゥインは、赤ん坊を女性に渡すと、壁のほうに行ってなにやら探し出した。古い外套を取り出すと「さあ、これを着るといい。粗末なものだが、暖かいよ。この中に赤ん坊も入れておやり。」女性は泣き出した。続きは明日のお楽しみ・・・Copyright2009 実祝プランニング★★★★★★★★★アドベントとともににその関連からHAPPYを見つけていきたい。同じみ言葉から、様々なことが示される『詩篇43編3節・どうか、あなたの光とまことを送り、私を導いてください。あなたの聖なる山、あなたのお住まいに向って。』自分のためだけに自分のための光とまことを祈る事もいいが、他者のためにも、光とまことを送ってお導きください、と祈って差し上げることができる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)