アドベント その12 寒空の下の赤ん坊

12月10日(木)晴れ
『寒い心を暖かくするものは、身近にある。』実祝プランニング
涙を流しているステパーヌイチにマルトゥインは「さあ、もう1杯お飲み。」とお茶を勧めた。
ステパーヌイチは「ああ、有難う。もう十分頂いたよ。わしのような、お金も無く家族も無く、貧しい老人でもキリスト様は大事に想ってくれるとは、嬉しい限りだ。寒くても、真面目に頑張って雪かきを続けるとするか。マルトゥイン、身体も心もほかほかしてきたよ。」そういうと、涙を流したまま、十字を切り立ち上がった。
マルトゥインは、ステパーヌイチの肩をたたきながら、「また、いつでも寄っておくれよ。お客があるのは、わしも嬉しいよ。気をつけてな。」そう言って、ステパーヌイチを送り出した。
マルトゥインは、残りのお茶を入れて飲み干した。お茶の後片づけをすると、また靴を縫いだした。しかし、少し縫うとまた、窓の外を眺めている。隣の主人が手入れの行き届いたブーツをはいていた。近所のパン屋もカゴに入ったパンを持って通り過ぎた。
しばらくすると、毛糸の靴下と古ぼけた靴をはいた女性が窓の前で立ち止まった。良く見ると、このあたりでは見かけない顔で、粗末な着物を着ている。しかも夏服だ。そして赤ん坊を抱いている。この寒い中、赤ん坊をくるむ[おくるみ]もない。
赤ん坊は寒さとお腹がすいているのか、泣き出した。女性は赤ん坊をあやそうとしているが、泣き止まない。マルトゥインは急いで戸を開け外に出た。「もしもし、そこの女のかた。」女性は振り向いた。「いったいどうしたんだい。この寒い中で赤ん坊を抱えて。さあ、狭いところだが中にお入り。暖かい場所で赤ん坊をあやしておやり。」
女性はビックリした。みると、前掛け姿の、めがねをかけた老人が、呼んでいる。女性はマルトゥインの後について、部屋に入った。「ペチカに近いところにお座りよ。暖まったら、赤ん坊にお乳を飲ませるといい。」
女性は言った。「お乳はでません。今日も朝から何も食べてないのです。」なんとかわいそうな・・・。続きは明日のお楽しみ・・・Copyright2009 実祝プランニング★★★★★★★★★アドベントともにその関連からHAPPYを見つけていきたい。同じみ言葉から、様々なことが示される『詩篇43編3節・どうか、あなたの光とまことを送り、私を導いてください。あなたの聖なる山、あなたのお住まいに向って。』 自分のためだけに光は存在していない。自分が正しい方向に導かれる力は、他者にも大きな力を届けていくものになる。神の光とまことは、他者を導くためにも存在する。

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