心は通じる
6月2日(土)
『人は人の心を感じ取る力がある。』実祝プランニング語録
先日、偶然にアスペルガー症候の人に会う機会があった。
同業の知人が作品展を開催していたので、遠方ではあるが、出かけた。
その場所では、アートセラピーも月に2度ほど行われている。
たまたま、発達障害を持った子供さんの親御さん達が来ておられたようなので、私は邪魔をしないように、ひとりで作品を見ていた。
そこに一人の人が来て自己紹介をしてくれたのだ。
そしてなぜか、初対面の私に色んなことを話してくれる。
その人をS君としよう。S君は今35歳。近くに作業所があるのだと。
S君の目標は、「就職」
就職をして、早く親から自立したい。という。
そのなかで、「僕は10年を無駄にした。」という。
理由を聞くと、某有名大学病院に、自分の病気は何なのかと、10年通い続けたらしい。
ここ近年は、発達障害の事も理解されるようになったが、S君がその病院に通いだした頃は認識も薄く、わからなかったそうだ。
しかし、今ではその病院は、「発達障害の専門」みたいなことを言っているので、「僕は悔しくて腹が立つ・・・。」そう悲しそうに言う。
私はS君に「S君、君は目標をもってそれを実現させたいのでしょう?」
「はいそうです。」
「済んだことをどうこう、言ってその時間が戻りますか?前に進まないといけないのに、過去の怒りに後戻りしたら、前に進めないよ。
それに、その時間は決して無駄じゃないよ。今、君がここにいる!それがその証明だよ。」
S君は「ああ、そうですね。わかりました。」と笑顔になった。
S君は知能的には申し分ない。
聞くところ、発達障害というのは、千差万別らしい。
しかし、コミュニケーションを取るのは苦手というのは似ているらしい。
では、S君が、なぜ、初対面の全く知らない私に、自分から声をかけてきたのか?
私はS君から話を聞くまでS君が発達障害という事も知らなかった。
何か、心に響くことを見つけてくれたのかもしれない。
私なりにS君を励ました。
人が前に進むためには、暖かい後押し、損得も計算もないそういう「もの」を人は、敏感に感じ取って、受け留めていくのかもしれない。
S君に次に会う機会は無いかもしれない。
でも、私はS君から、とても素晴らしい時間をプレゼントしてもらった。
私は今でもその事が本当に嬉しい。
copyright2012実祝プランニング
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