誘惑に勝つHAPPY その3
9月8日(火)晴れ
『良くない事を告白して、捨て去る勇気はHAPPYを導く。』実祝プランニング語録
キッペンハイムの司祭は、様々な経験を積んでいた。
口先の言葉で、人人を諭す人ではなかった。
人間の欲が悪魔を引き寄せる事も良く知っていた。こういう事例も扱ってきた。
若いおかみさんは、自分が老女の所に行って、バターを高く売ってお金がほしい為に、血のような真っ赤な布を盗んできたことを、司祭に隠さず話した。司祭は言った。「落ち着きなさい。あなたが人の物を盗んだ事は良くないことです。欲が出た事もです。それを神の前にまず悔い改めてお祈りしましょう。そして、明日その男が来たらわたしのいうようにしなさい。神が守ってくれますから。」
『自分のそむきの罪を隠すものは成功しない。それを告白して、それを捨てる者はあわれみを受ける。聖書箴言28:13』
次の日の同じ時間、気味が悪い緑色の男が、またやってきた。そしてナイフと羽ペンを差し出した。
若いおかみさんは、腕に傷をつけ、その血で男が出した本に名を書いた。男は勝ち誇ったような笑いを浮かべていた。ところが若いおかみさんが書いたのは自分の名ではなかった。司祭から「平和の君、イエス・キリストの名を書きなさい。」そういわれていたのだ。文字が本に書かれると、男は叫び声を上げた。そして昼間だというのに稲妻が光り雷が鳴り、硫黄のような臭いとともに煙が立ち上がった。緑色の男は窓を破って外に飛び出した。
後に残ったのは、ガラスの破片と、硫黄のような臭いと、沢山の人が血の文字で書いた本だけだった。
若いおかみさんは、勇気をふり絞って立ち上がり、その本をキッペンハイムの司祭の所にすぐさま持っていった。神に仕える忠実な司祭は、血の文字で書かれた本を、祈りながら火にくべて燃やしてしまった。血の文字で書かれた名前は全て灰になった。お陰で、血の文字で悪魔と契約を結んだ多くの人達は、悪魔との契約が無効にされることになった。
悪魔と契約を結んでしまった人達は、最初は、「小さな誘惑や小さな悪いことなら、直ぐ元に戻せる。誰も知らなければ、大丈夫。1回きりだし。」 そう思ったことだろう。実はそれこそが、大きな落とし穴だったのだ。若いおかみさんは、本当に懲りた。それからは、自分から困っている人を助けて行く人になった。
続きは、また、明日・・・。
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