本当の友情のHAPPY その3

7月22日(水)曇り後晴れ
『約束は相手を尊ぶ中にあり、嘘はない。そこに信頼が生まれる。』実祝プランニング語録
シラクサの王ディオニュシオスは、ダモンが親友を信じきっている自信に呆れかえった。「直ぐに裏切られた事は明白になるだろう。」そう言い残して、牢屋を後にした。
ついに、約束の期日が来た。ピュティオスの姿は見えない。ダモンは死刑が行われる場所に連れ出された。ディオニュシオスは笑いながら言った。「どうやら、親友とやらは戻ってこなかったようだ。友情も最後には裏切られたな。」「いいえ、君主、ディオニュシオス様。ピュティオスは私の親友です。今でも信じております。」ダモンは答えた。
その時、ドアを激しく叩く音がした。ディオニュシオスがドアを開けるよう合図すると、ピュティオスが倒れこむように入ってきた。「ディオニュシオス王よ、お約束は守りました!ダモンを自由にしてください!」見るとピュティオスは顔も身体も傷だらけだった。よろめきながら、ダモンのそばに駆け寄った。「我が友ダモン!無事でよかった。神に感謝する!」そういい終えると、ディオニュシオスの前に跪いた。「君主、ディオニュシオス様。航海の途中で嵐が来て、船が難破しました。ようやく岸にたどり着き旅路を急いでいると、盗賊に襲われました。しかし、希望を最後まで失わないよう祈り続けました。
何とか間に合いました。私は、処刑に臨みます。」
この頃の盗賊は情け容赦がなかった。持ち物や着物を奪うだけでなく、相手が動けなくなるまで暴力をふるうのだ。盗賊に遭えば命を落とす人もいた。だから人人は、近道でも危険な道は避け、夜は歩く事も少なかった。きっとピュティオスは、少しでも早くと急ぐあまり、危険な道を通ったのだろう。着物は剥ぎ取られて、殆ど裸に近い状態で、傷の痛みをこらえながらシラクサまで戻ってきたであろう事は誰の目にも明らかだった。 『友はどんなときにも愛するものだ。兄弟は苦しみを分け合うために生まれる。聖書箴言17:17』
ディオニュシオスはその言葉と姿を見て、呆然と立ち尽くしていた。言葉も出ず心底驚いていた。ピュティオスは傷だらけになっても、約束を守るためにわざわざ、自分に処刑されるために戻ってきた。しかし、今までディオニュシオスは闘うこと、人を押しのけることで、君主にのしがってきたのだ。この光景はディオニュシオスに何をもたらしたのか?続きは、また、明日・・・。Copyright2009 実祝(みのり)プランニング

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