プラスαの肝のすわった仕事

11月22日 (土)晴れ
アナログ時代から、デジタル時代に突入して随分時間がたったように思う。
デジタルは確かに便利だ。しかし、落とし穴も沢山ある。まず、様々なシュミレーションが、瞬時に出来てしまうため、最初から突き詰めた仕事に発展しにくい。例えば、アナログでは、デザインの仕事は、デザイナーが色を決め、そこで色校正というものに出してしまうと、その後の色の変更には製版をやりかえるため、金銭面での追加が生じてきたのである。予算がなければ、お金のかかる事はできないのである。慎重にしかし、大胆な決断が必要であった。色はどんな風にお客様と見ていたのかというと、台紙にこれまた写真植字で打ってもらった文字を平行、垂直を見ながら、貼り付け、文字を大きくしたい、小さくしたいとなると、暗室に入って、印画紙にその大きさの%にあわせ、焼いていく。それらを貼り付けたあと、トレシングペーパーを上からかぶせて、マーカーで似たような色を、塗っていくのであった。マーカーでは、全く同じ色はでないし、細部は、わからない。だから、相互の信頼関係が強くなる。色校正がある意味勝負なのである。
しかし、デジタルになると、数多くの色のシュミレーションが、直ぐに、パソコンで何種類も出来てしまう。絶対にこの色でいくんだ!という強い意志より、パソコンで色を変えるシュミレーションに頼ってしまいがちになる。
これはこれで、お客様も、色を見れるので、そういう意味での安心はある。また、責任も回避できてしまう。
仕事では、コンピューターが主流になり、技術と勘を働かせることができる、本物の職人さんが、コンピューターが使えない、ついていけないという、それだけで、その技術職から離れた人が多い。本当にもったいないことだと思う。技術とその勘は、長年にわたり自分が、研ぎ澄まして身につけるものだからである。この間も、印刷にだすと、少し、微妙に色がかわっている。勝手に色を変えないでほしいと、工場にいうと、「データ上では、そのまま正確にだしています」という返事が返る。『データはあくまで目安です。最初に出したそのままの色に合わせてくださいね。季節や温度湿度によってインクの乗り具合も違ってきますから。』そうお願いした。これが本当の職人さんなら、相手の個性も、今の季節にあうインクの加減も、掌握して黙っていい仕事をしてくれた。だから、心配なかった。今は、最初の見本を渡さないと、いけない。データーが、全てだからだ。データ上では全く間違いはないので、ミスでも失敗でもない。しかし、アナログはそこにプラスαが、いつも加算されていたのである。仕事は生き物であるからだ。
仕事は、生身の人間が、仕事の肌の温度を感じて、身体全体でするものだ。どんな仕事でも。私はそう思う。
コーヒー1杯いれるにも、その日の温度、湿度、朝、昼、夜によって微妙に淹れかたをかえるといったコーヒーショップのマスターがいた。そんなコーヒーを淹れて出してくれるお店も、少なくなった。
でもそこに、優しさや、人間の肌の温かさが感じられていくのだが、その心意気は失いたくないと思う。
肌のプラスαを教えられる職人さんがいる職場は、宝物の宝庫かもしれない。

プラスαの肝のすわった仕事” に対して2件のコメントがあります。

  1. 石畳のん♪ より:

    アナログにプラスα、なるほど~です。
    『職人』と言う言葉は何か好きです♪

    ところで・・・ハッピーさんは
    アート関係のお仕事をされていたのですね!
    (勝手な妄想なのでスルーして下さい(^_^;))

    1. happy-ok3 より:

      石畳のんさま、こんばんは。いつも感謝します。

      職人さんが減ってきたように思います。
      機械の数字ではなく、人の肌で感じる力。大事だと思います。

      いつも本当に有難うございます。

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